カイロプラクティックを受ける時は

カイロプラクティックを受ける時の心構え

(3) 症状が無くなったからといって「完治」した訳ではありません。

逆のケースですが、「痛みが消えた! 治ってしまった!」という「誤解」もたくさんあります。体内でおそらくは何十年も持っている問題がそんなに一瞬で消えはしません。
お医者さんもよくそれで困っておられるようです。「症状がなくなったら薬飲んでくれへん……」という話を良く聞きませんか?

特に良くあるのが水虫だそうです。「水虫は治らん」という話は良く聞きます。しかし、皮膚科の先生に言わせると水虫は「100%治る」病気だそうです。治らない理由はただひとつ、水虫の原因菌はかゆみがとれても皮膚の内部に最低3ヶ月は潜んでいるので、「かゆみがなくなっても3ヶ月は薬塗ってね」と言っても、ほとんどの人がかゆくなくなると薬を忘れてしまうから、だそうです。

カイロプラクティック的にも問題は同じです。損傷部位に負担をかける関節に対する調整を、途中でやめてしまえば損傷が再開してまた症状が出てきます。

「カイロプラクティックの治療で良くなった」と思っていただけましたら、「カイロプラクターの判断が正しかったので、痛みがなくなった後も先生の言う通りにしてみよう」と考えてみてください。
存在するサブラクセーションを放置すると現存する症状以外の原因にもなります。せっかく快方に向かっているのですから、この際しっかりと調整しておいた方が、結果、全て安くつくはずです。

(4) 痛いところを直接触らないこともあります。

痛いところに原因があるとは限りません。傷んでいる場所を直接触ってはいけないケースや原因がそこにない事もあります。そういう場合、今症状がある場所を治療せずに離れた場所にある原因の治療をする事で、痛い所の治療をするよりはるかに早く改善する事があります。決して怠けたり患者さんの声を無視している訳ではありません。

カイロプラクティックは原因療法です。症状を取り除くことがすべてではなく、「なぜそんな症状が出なくてはならなくなったのか?」を追求します。ですので必ずしも痛いところを直接治療しない為に、誤解を受けることが多いのです。
「なんや!あそこの先生は膝痛いって言ってんのに首触って「ハイこれで様子見てください」やって!頭おかしいんちゃうん!?」よくある話です……。

しかしそれも原因を追究するからなのです。ちょうど膝の話なので膝を例にとります。

太ももの前の筋肉、これは大腿四頭筋といいまして、膝を伸ばす、言い換えれば膝が曲がらないようにする筋肉です。階段を下りるときなどに体重を支えてくれる役割があります。
もしこの筋肉が、直角に曲げた状態でその人の体重を支える事ができなくなると、膝の軟骨や靭帯に負担がかかるので膝を損傷しやすくなります。と言っても、弱くなった瞬間に膝を痛めるわけではありません。軟骨や靭帯はもともと体重支持のためにあるものなので、なかなか頑丈でそう簡単には損傷しません。
しかし、それが長期間続くと負担が蓄積して、あるとき階段を下りている途中に膝が「グキッ!」と痛くなります。よくおばあさんが「先生、神社の階段下りてたら膝痛くなりましてん。あんな神社行かんかったら良かった……」などとバチ当たりな事を言いながら来られるときはそんなケースがほとんどです。

で、その大腿四頭筋が、なぜ? 力がなくなっているのか、というのを追求する事になります(本物の筋力不足でしたら片足だけ、なんてことはありませんし歩けません)。

私が疑う代表的なところでは、
1) 同じ側の骨盤の関節が壊れてしまっているとき(ゆがんで、ではありません)、骨盤からついている四頭筋のひとつ、大腿直筋が、土台が不安定になって力が入りにくくなる
2)大腿四頭筋に神経を送っている第1〜3腰椎がずれると、神経が混乱をきたして四頭筋の入力もおかしくなる
3)第10、11胸椎がずれて、そこから小腸の問題に派生するとなぜか? 大腿四頭筋が筋力低下を起こす
などです。(考えられることはまだまだあります)

さらにそれらが「なぜずれたり壊れたりしなくてはならないか?」が問題になります。首がおかしくて骨盤が痛んでいることも良くあります。結果として『膝痛いのに首触られた』となります。

しかし、膝の筋肉の力が入りにくくなって、膝の内部に負担がかかりその結果、内部の靭帯軟骨が傷んでいる場合、膝に何かしたからといってその損傷が治る訳はありません。
例え、その筋肉が弱ったままで膝を治すことができたとしても、痛んだ原因が残っているわけですからまたすぐに痛むのは目に見えています。

ですので、そんな時は膝を治療するのではなく、直接的原因である膝の筋肉に力が入りやすい環境を整えてあげる事が重要なのです。膝をサポートする力が回復すれば、軟骨靭帯が回復するスピードの方がそれらが傷んでいくスピードより速くなる条件が整いやすくなる。そうなれば勝手に治っていくはずです。本来肉体はその程度の力を備えているのです。

また、先の「治療後すぐに効果が出る訳ではない」に戻りますが、こういう治療では(他の治療でもそうですけど)治療後すぐに膝内部の損傷が治る訳ではないですから、やはり最低でも捻挫が治る程度の時間はかかる、と思っておいたほうが賢明です。

ごく初期の場合まれに、例えば頚椎治療した瞬間からいくら階段を下りても膝が痛まなくなる、などといったケースもありますけれど、やはり“まれ”です。そうではない事が多い、というのは分かっていただけると思います。

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